新しい年度が始まって、
少しずつ生活に慣れていくこの時期。
はじめてのことにチャレンジしたり、
これまでとは違う環境に身を置いたりして、適応するのに精一杯。
帰ってきてからは何もしたくなくて、気づいたら時間だけが過ぎていた、
そんな日もあるかもしれません。
料理なんて落ち着いてしていられない、
と感じることもあると思います。
それでも、そんな時期だからこそ、
自炊ができると少し気持ちが整うこともあります。
ここでいう自炊は、
手の込んだ料理ではなくて、
食べ物を美味しく食べるための、ほんの少しの工夫のことです。
新しい環境に慣れていく中で、
自信をなくしたり、気持ちが揺らぐこともあると思います。
そんなときに、
それでも自分のために、誰かのために、料理をしている。
その感覚が、
少しずつ積み重なって、
自分を支える土台になっていくような気がしています。
この記事では、
忙しい毎日を送りながら、それでも料理をする人に向けて、
無理なく続けられる料理本をいくつかご紹介します。
応用できる私の一皿のきっかけに

『いつものごはんは、きほんの10品あればいい』(寿木けい 著)
著者の寿木けいさんは、出版社に勤めながら、3000ほどのレシピをSNSに投稿されてきた方です。
本書には、その膨大な中から厳選された、健康的で簡単、かつ飽きのこない「きほんの10品」がまとめられています。
正直に言うと、
私は後半にいくにつれて、著者のストイックさに少し圧倒されてしまいました。
フルタイムで働きながら家事や育児をこなし、これだけの習慣を積み重ねてきたことに、
ただただ驚かされています。
「すごい」とは思うけれど、
「そのまま真似するのは難しい」。
それが本音でした。
それでも、“名もなき20秒卵”や“牛皿のような”といったレシピは、
驚くほどシンプルで応用が効きます。
そうか、この料理とこの料理は、同じ延長にあるんだな。
そんなふうに、少しずつ広がっていく感覚があります。
この本は、優しく寄り添うというよりは、
少し背筋を伸ばしてくれるような一冊。
「全部やる」のではなく、
「自分はどこまでなら心地よく続けられるか」
を考えるためのものさしとして、手元に置いています。
力を抜くための提案

『一汁一菜でよいという提案』(土井善晴 著)
「ごはんと味噌汁があれば、それでいい。」
この言葉に救われる人は多いと思います。
品数を増やし、栄養を整えなければ
という思い込みが、自分を苦しめていたことに気づかされました。
実際、余裕のない夜にこのシンプルさを取り入れると、
心がふっと軽くなるのを感じます。
「ちゃんとしなきゃ」を手放すこと。
その選択肢を持つだけで、料理はもっと身近になります。
「一汁一菜でよい」という言葉には、
単に台所に立つハードルを下げるためだけではなく、
本来の料理をする意義や姿勢を伝えたいという、著者の強い思いを感じます。
多くの人の心に届くはずです。
『一汁一菜でよいという提案』に関してはこちらの記事でも触れています。

現実を回していくための具体的な「仕組み」

『働きながら家族のごはんを作るために』(藤井恵 著)
こちら的は、忙しい日々を「どうやって乗り切るか」という現実的な工夫が詰まった一冊です。
藤井恵さんの本が素晴らしいのは、単に「手抜き」を教えるのではなく、
「段取り」によって料理の時間を最小化し、クオリティを落とさない仕組みを具体的に示しているところです。
品数を増やさずとも、手軽に多くの食材を取り入れるための思考や工夫。
手の込んだ常備菜ではなく、調理の工程を楽にするための食材の保存方法。
そうした「家事の解像度」を上げてくれるような一冊です。
できる形で回していくという考え方が、
藤井さんの長年の経験に基づいているからこそ、とても説得力があり、
気負わず楽しく料理と向き合うための大切な指針となっています。
私も、献立を決めきれない日に、
冷蔵庫にあるものでその場で考えてみるようにしたら、
それでもきちんと食卓が成り立つことに気づきました。
まとめ

この3冊を読んで、私は「全部やろう」とは思いませんでした。
むしろ、自分の中に「これくらいなら続けられる」という小さな基準を、
少しずつ作っていこうと思っています。
まずは、明日から「味噌汁」は継続的に作ってみること。
そして、もう少し食べたいときには、卵をやくこと。
これだけで、今日の自分を十分労ったことにしようと思います。
もし、無理はしたくないけれど、少しずつ暮らしを整えていきたいと感じたら、
まずは一杯の味噌汁から始めてみませんか。
「ちゃんとした食卓」でなくていい。
あなたにとっての「心地よい食卓」が、そこから少しずつ始まっていくはずです。


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